今回は記念すべき第150号です。日本の基幹産業である自動車の2社の12年比較をしました。トヨタ自動車株式会社に比べ規模が小さくて追いかける側のスズキ株式会社の戦い方を、数字を根拠にしたグラフで俯瞰することによって、多くの企業経営者の励みや考えて頂くきっかけになれば幸いです。
トヨタ自動車・スズキの企業分析を俯瞰
2006~2017年3月期までの連結財務諸表の12年を分析しました。
企業力総合評価を2社観察すると、3つのポイントが見えてきます。リーマンショックのインパクトはトヨタ自動車の方が大きく2009年黄信号領域であるが、スズキは軽微な凹みに留まる。リーマンショックの回復はトヨタ自動車が4年後の2013年当たりであるが、スズキは翌年2010年には回復した。リーマンショック後、更に成長したと言えるのはスズキである。
差異はどこにあるのか、下位の親指標を調べてみましょう。
トヨタ自動車・スズキの企業分析 営業効率
リーマンショックのインパクトも、それからの復活も、更なる成長も、営業効率が関係しているようです。
トヨタ自動車・スズキの企業分析 生産効率
生産効率は、トヨタ自動車が12年連続スズキを上回っています。従業員数(棒グラフ)は5倍強ほど差異があります。スズキのリーマンショック時の従業員数の減らなさが特徴的です。その後が見えていたのでしょう。また、リーマンショック以降、両社とも従業員数は増加させていますが、トヨタ自動車は生産効率改善、スズキは悪化しています。スズキは、生産効率を悪化させてまで雇い入れた従業員を今後どう活用していくのか。人事戦略が気になります。
トヨタ自動車・スズキの企業分析 資産効率・流動性・安全性
資産効率、流動性、安全性はいずれもスズキが勝っています。トヨタ自動車が低い評価とはなっていますが、即ダメということでもありません。例えば流動性が悪いのは、ムダに現金預金を持たない、売上債権のサイトが厳しい、カンバン方式で棚卸資産が少ないなど流動資産を持たないことに理由があります。トヨタ自動車であれば、国も銀行団も株主も見捨てないでしょう。でも、自分で頑張るスズキは、この3指標も右肩上がりを志向されるのでしょう。
まとめ
今回は、トヨタ自動車、スズキの12年を俯瞰することによって、両社が何を考え、どう行動したかを観察しました。考察は少ないので、読者それぞれの立場で、ご自身の担当されている部署に関係する指標を捉え、自社と比較し、考えるキッカケにして下さい。
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